人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

本日も和菓子日和です

駿河湾の潮風に吹かれて。海辺の町の和菓子屋blog。手づくり工房から和菓子の愉しさ紹介します。


by wagashi_yoshino

羊の味噌汁は、いかが?

羊の味噌汁は、いかが?_c0050395_21291676.jpg

この羊羹は『収穫祭』っていう名があります。
いも羊羹と栗蒸し羊羹を流し合わせてあります。
実は、高校生たちとコラボレーションしてできた和菓子なんです。
二つの風味が楽しめる学生らしいアイデアでしょ。
高校のイベントで実際に学生たちが販売したオリジナル商品です。

お客さまのお茶菓子に出す時も
こんな風に、一口サイズに切り分けて黒文字で刺すと
お洒落で食べやすい羊羹になります。




羊の味噌汁は、いかが?_c0050395_21295216.jpg
羊羹って・・・ホントに変な漢字だな〜って思うのです。
なんで、『ひつじ』なんだろう???
で、和菓子の文献で調べてみたら載ってました。
和菓子のほとんどは、中国から伝来したもので羊羹も、もともとは汁物として伝えられたものらしいのです。
羊羹の羹の字は、『あつもの』って読み方があって、そもそもは肉を煮た熱い汁を意味する言葉。
古文書「貞丈雑記」によれば、『羹の汁は皆たれ味噌の汁なり』と、あります。
今で言う味噌汁の具が、四十八羹と呼ばれる生物の名をつけたもので、羊羹も、その一種類だというのです。つまり、羊羹の先祖は羊の味噌汁だったわけ。

ってことは、四十八種類の生き物の具が、あったのかな〜???
これ以上のことは、記載されてないので、想像するしかない。

豚肉は、もちろん豚汁?じゃなくて『豚羹(とんかん)』
牛肉の味噌汁『牛羹(ぎゅうかん)』鶏肉は『鶏羹(けいかん)』か?
このへんは、当然あっただろうし、食文化が盛んな昔の中国だから『馬羹(ばかん)』とか『鳩羹(きゅうかん)』とヤギとか猿とか・・・考えていくと、とんでもない生き物まで味噌汁の具になってしまいそう。

さてさて、平安時代なぜだか『羊羹(ようかん)』だけが残ってしまう。
羹の中で一番美味しいとされるとか、一番代表的であるとか、諸説伝えられているようだけど、真意のほどは定かじゃない。
ただ、当時のわが国は肉食を好まない習慣があったので、形と色だけ似せて植物性のものに変えて伝えられてきました。
その後、点心として茶道に取り込まれると、今度は汁気が嫌われ蒸し物に変化します。
そして、だんだん、お菓子の羊羹として姿を変えてくることになるのです。
もとをたどったら、大変壮大な話になってしまいました。

写真は、吉野の代表的な羊羹『大粒栗々蒸し羊羹』秋〜冬のみの限定発売です。


by wagashi_yoshino | 2005-03-15 22:34 | 特別な御注文