夏の自家製餡2011

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瑞々しい夏和菓子が登場し始める季節ですが
水羊羹でも、水まんじゅうでも、笹麩まんじゅうでも
相変わらず自家製餡から始めています。
一日仕事になってしまいますが
これだけは和菓子づくりの基本の基本。

見た目の美しさで季節を彩る茶席上生菓子でも
素朴な栗まんじゅうでも
自家製餡でのあん煉りでも
「段取りよく時間内に気持ちよく終わらせる」と
いうことにおいては同じ仕事、同じ和菓子づくりです。

多種多品目を作る和菓子屋にとって
時間の制約は「宿命」と言えるかもしれませんね。

丁寧な仕事をし過ぎることで
毎日、製造時間が大幅に、かかり過ぎたので
和菓子屋を辞めてしまった方がいます。

『こだわるあまり和菓子を作るのに時間が、かかってしまう』
彼は極めて上等な和菓子を作るのですが
相当な時間が必要でした。
そうかと言って急ぐことができない。
彼にとって仕事を早めることは
「和菓子作りにおいて、手を抜くこと」になってしまうからです。
彼は和菓子屋の跡継ぎを諦め
自らブティックを開業してオーナーになっています。

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時間をかけて作らなければならない物も
沢山あるのは承知の上で
すべての製造における手際のよさ、段取りのよさが
結果、製造時間を短くするような気がします。

『手際、段取り、仕事の内』
東京での修行時代に先輩からよく言われたものでした。
今も心に残る仕事語録になっています。

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Commented by cox-orange at 2011-06-09 07:20
すごい量の餡!圧巻です!!
一度に何キロくらい練られるのですか?
『手際、段取り、仕事の内』、よく覚えておきます~。
(覚えるだけではいけないんですが。。。汗)

今年の初め、20年ぶりに辻静雄さんの「料理に究極なし」を偶然読み返していました。その中にもあった「美味しいものを作ること」と「店として成り立たせること」の厳しさを、吉野さんのお話にも垣間見る思いです。
Commented by wagashi_yoshino at 2011-06-10 09:59
●cox-orangeさん
十勝産小豆18Kgを自家製餡して、約30K前後の生あんが出来ます。
専用のあん煉り釜(サワリ)に砂糖を加えて煉ると漉しあんが45Kgほど。
忙しいときはコレを2回繰り返しますので、ほぼ一日がかりですね。

商売=商い(あきない)は、何にこだわるか?で、自然に生き方が決まります。「料理に究極なし」とは、言い得てますね。「和菓子に究極なし」とも言えます。「美味しさ」と「店として成り立つこと」その狭間に職人がいて腕を奮います。美味しさはグレード、店の成り立ちは採算。他にも多くの要因がありますが、毎日その勉強をさせてもらっています。辻静雄さん読んでみます。ありがとう~coxさん♥
Commented by ぐ~ at 2011-06-10 22:52 x
う~ん、あんこ大好き~。プロの技は凄い!
私達は、のほほんと食べるだけです~。
仕事の段取りは、先を読む力も大切ですね。
どんな仕事も、終わった時は片付いてる事が望ましいです。
Commented by wagashi_yoshino at 2011-06-12 00:33
●ぐ~さん
自家製餡は、これまでも何度となく記事にアップしてきましたがけれど、これからも変わらずやっていくことなので、折にふれて記事にしてしまうかも(笑)吉野の和菓子を支える基本の基本。自分で見極めた小豆、素材でないと納得できないわけです。おまんじゅうで言えば三分の二は餡で構成されているわけですから、素材を人任せにできない。
  
作業中から、どんどん片付けいていけばスペースも空いて次の作業の能率がアップして、結果仕事が早く終る。先を読む力=仕事が終った状態を全て想像し把握できていることなんのでしょう。片付けも仕事の内ですね。
Commented by cox-orange at 2011-06-12 18:39
辻静雄さんの実家は和菓子屋さんだったとこの本の中にあります。
「父親のくやしさ」という章の中で「いい材料、いいお菓子、ものすごく美味しく、時間をかけて作る、安く売る。」を追求して「最後にはお店を潰してしまいました。」と書いておられます。

日本で最大の料理学校を作り、日本人で初めてのMOFフランス国家最優秀職人章を受賞した辻氏の実家が和菓子屋さんだったことは偶然ではないと思うのですよ。シンプルな「素材の味」を知っている人はやはり強いと思いますから。
Commented by wagashi_yoshino at 2011-06-14 18:24
●cox-orangeさん
辻さんのご実家でお父様の作る和菓子は、すごく美味しかったのでしょうね。でも「儲ける」ということをしなかった。職人としては優れていたが、商人としての才能がなかったのかもしれません。だから店を潰してしまった。
利潤の追求は商売の基本ですから、オーナー職人は、商品を製造する技以上に経営の手腕も問われるわけです。辻静雄さんはお父様の良いところだけを継承し、さらに経営手腕や社会処世術も優れていたので大成功の道を歩まれたのでしょう。
Commented by foodnotes at 2011-06-17 22:55
ものづくりの基本、和菓子の基本、
いつの季節でも、どんな時でも大切なのですよね。
それを続けることが難しいとしても・・

素敵な、あたたかみを感じるお菓子たちに
つまった想いが 餡から感じられます。

また(今度は日本から)注文させてください :)

Commented at 2011-06-17 23:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by wagashi_yoshino at 2011-06-18 18:07
●foodnotesさん
どんなことでも必ず基本があって、そこから全てスタートするんだと思いますが、モノづくりにおいては必須事項なんです。
もしかしたら世の中には基本を飛び越えてマスターする事柄もあるのかもしれませんけど、モノづくりの基本は通過点。
お仕事も子育ても充実されているご様子。また楽しいお話をお聞かせくださいませ。これからも御贔屓に。
Commented by wagashi_yoshino at 2011-06-18 18:07
●鍵コメさん
月日が経つのは早いものですね~。
宣伝の件、了解しました。喜んで応援させてもらいます。
いい結果が出るといいですね。(^v^)
by wagashi_yoshino | 2011-06-06 18:55 | 工房レポート | Comments(10)

駿河湾の潮風に吹かれて。海辺の町の和菓子屋blog。手づくり工房から和菓子の愉しさ紹介します。


by wagashi_yoshino