茶席上生菓子『着せ綿』

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朝、顔を洗う水がいつの間にか冷たくなったと感じるように
長袖のシャツが身体に馴染むように感じるように
気がつくと秋は、いつの間にか
「やって来ているもの」なのかもしれません。

本日の和菓子
茶席上生菓子『着せ綿』

薄紅と白生地で包んだシンプルな薯蕷饅頭。
薄紅で菊、白生地で綿を表現。
中あんはご依頼主のご希望で黄身あんを包みました。
彩りも風味もよく美味しく仕上がりました。

着せ綿とはザックリ言うと
菊の香りを夜露と共に一晩綿に含ませ身をぬぐうことで
不老長寿を願う宮中行事。
五節句のひとつ、重陽の節句の儀式です。
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古代中国では、菊は邪気を払い長生きする効能が
あると信じられていました。
菊の花を真綿で覆うと菊の香りと共に夜露が真綿に移るので
その綿で体や顔を拭って長寿を願ったわけです。
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重陽の節句9月9日は旧暦の話なので
新暦、今年で言えば10月23日。
3月3日の桃の節句や
5月5日の端午の節句が新暦の行事として定着したのに
重陽の節句が新暦に移行出来ないのは
「菊の開花には早過ぎるから」
「夜露も降りないから」とも言われています。

新暦、旧暦いずれにしても
秋を迎えたことに思い馳せる行事として
宮中伝承されてきた菊花にまつわる重陽の節句は
その雅豊かな話と意匠という形になって
和菓子の世界で脈々と受け継がれています。

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Commented by amamori120 at 2012-09-02 21:34
吉野師匠   こんばんHA

また上品なお菓子を観させて頂き、ありがとうござんす。
Commented by ぱらぽん at 2012-09-03 00:13 x
重陽の節句には、菊の花びらを浮かべた「菊酒」を飲む…と、漢文の時間に聴いたような…。お菓子もあるのですね。また、いろいろ教えてくださいね。
Commented by wagashi_yoshino at 2012-09-04 01:45
●amamori120さん
雨漏り師匠こんばんは。
同じ茶人でもお客様によって、また流派によっても、お茶菓子のお好みがかなり違うものですね。表現の仕方、色合い、形、味、それぞれのお客様にあったものをお作りするのも職人の仕事の内。今回はお客様のご指定で、ほぼ決まったのでストレートにつくりました。
Commented by wagashi_yoshino at 2012-09-04 01:46
●ぱらぽんさん
そうですね~重陽の節句には菊酒が付き物のようです。着せ綿の場合は月見だんごのように必ず付くというわけではなく、時節柄作りましょうねって感じです。菊の煉切の上に白い煉切そぼろをかぶせて着せ綿を表現するのもポピュラーですからご覧になったこともあるかもしれませんね。
by wagashi_yoshino | 2012-09-02 18:08 | 秋色の頃 | Comments(4)

駿河湾の潮風に吹かれて。海辺の町の和菓子屋blog。手づくり工房から和菓子の愉しさ紹介します。


by wagashi_yoshino