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本日も和菓子日和です

駿河湾の潮風に吹かれて。海辺の町の和菓子屋blog。手づくり工房から和菓子の愉しさ紹介します。


by wagashi_yoshino

夏の終わり…秋の予感

夏の終わり…秋の予感_c0050395_1795432.jpg

夜、いつの間にか虫の音が聞こえるようになった季節。
日昼の暑さも、ずいぶんと楽になり
名残惜しいように蝉が鳴いています。

夏の終わりは
毎年すごく淋しくて、とても苦手な季節。
ある日、突然やってきて、自分を慌てさせたり、戸惑わせたり。
果たさずじまいの約束や
やり残した事を思い出して悔やんだりします…。
夏の後悔はいつも
してしまったことへのそれではなく
し残したことへの苦く切ないことだったりするのです。



浅草で有名な「ほおずき市」は夏の風物詩。
夏のイメージが強い鬼灯(ほおずき)ですが
真っ赤な色づいた「ほおずきの実」は歳時記では初秋のもの。
俳句の季語も秋なので
人のイメージというのは勝手な思い込みが
かなり強く影響しているんだなぁと実感。

本日の和菓子
茶席上生菓子『鬼灯』 ほおずき
夏の終わり…秋の予感_c0050395_1711223.jpg


ゆく夏を惜しむかのように、来る秋を悦ぶかのように
燃えるような茜色(あかねいろ)に実った鬼灯(ほおずき)の実を
表した創作茶席上生菓子。
小豆こしあんを芯にして、茜色と梔子色でぼかした
練切に包み、鬼灯の木型で打ち出します。

淡い緑から黄色、オレンジ色・・・そして茜色と
燃えるようなグラデーションが
美しく変化していく、鬼灯の実の様に
季節も晩夏から初秋へ
少しずつ、グラデーションの様に移ろいでゆきます。

夏が終わっていくこの季節は
毎年すごく淋しくて、とても苦手な季節。

でも・・・
やがて必ず来る実りの秋を手に入れるためにも
通らなくてはいけない季節なんだよね。

明日は、新しい秋の中を歩こう。

by wagashi_yoshino | 2011-09-01 17:13 | 盛夏の頃