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本日も和菓子日和です

駿河湾の潮風に吹かれて。海辺の町の和菓子屋blog。手づくり工房から和菓子の愉しさ紹介します。


by wagashi_yoshino

あじさい結婚式 完結編

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紫陽花の話題が上るこの時期に、毎年必ず思いだす手紙がある。

その手紙は
お正月もようやく落着きはじめた
七草粥を食べる日
フランスのパリから届いた一通の海外便。

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挨拶状に同封されていたのは、三枚の写真。

静岡市内で結婚式をあげた新郎新婦の初々しい和装の婚礼姿。
黒紋付羽織り袴の新郎に、白無垢の花嫁が寄り添う。

そして吉野で創作した紫陽花(あじさい)の婚礼和菓子の写真。

最後に私のモノクロのスナップも一枚。

現在はパリ在住のご夫婦からの素敵な年賀エアメールだった。






『あじさいの婚礼和菓子を創って欲しいんです』
ウエディングケーキの代わりに
ウエディング和菓子で結婚式を挙げたいと来店された
その二人は、とても仲のよさそうなカップルだった。

六月の婚礼に向けて、すべてを純和風で演出したいと熱く語る二人。
紫陽花婚礼和菓子の依頼されたのが、前年の春先のこと。


喜んで注文を受けが、なにせ初めての試み。
直径40cmの、大きな丸盆にやっとのるような
特大和菓子である。

ラフスケッチで出来上がりのイメージを決めた後
数日間の試作に入った。

土台となる中身は羊羹とカステラを多層に流しあわせることにした。
表面は煉切あんの紫陽花の花を咲かせる。
微妙に色のトーンを変えた煉切製の紫陽花の花。
トッピングのバランスが難しい。

苦心の結果、ようやく超大型の婚礼和菓子が出来上がった。
それとは別に引き出物として
普通サイズのあじさい和菓子のご注文も頂いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

結婚式当日
披露宴会場となった高級老舗料亭に
婚礼用あじさい和菓子を配達する。

畳の間には、すでに黒漆塗りの座卓と座椅子が並べられ
宴の準備も万端の様だ。

正面の台座に紅縁の黒漆角盆。

和菓子を持つ手が震える。
金の敷き紙の上
慎重に婚礼和菓子を置く。

ホッと肩の力が抜けた・・・。

ご本人達が用意したものか
瑞々しい青竹で作られたウエディングナイフには
さりげなく紅白の水引きと若松が結ばれ、入刀の演出も上々。

自らが創った紫陽花の和菓子を
感慨深く見つめてしまったのを覚えている。

後日、新郎のお母さまより、祝福された、とてもよい
『あじさい結婚式』が執り行われた旨の連絡があり
わたくしとしても嬉しいかぎり感慨無量だった。

今でも大切に保管してある
あじさい結婚式の
吉野にとっても素敵な思い出の手紙だ。


あじさい結婚式 完結編_c0050395_2034261.jpg

by wagashi_yoshino | 2005-06-06 21:10 | 特別な御注文